「派遣=事務職」になったのはいつから?派遣法の歴史と、オフィスワーク急増の裏側

派遣の制度・法律・ルール

はじめに

今や働き方の選択肢として当たり前になった「派遣社員」。 特に「事務職」の求人を見ると、その多くが派遣雇用であることに気づきます。

しかし、実は派遣法ができた当初、一般的な事務職は派遣の対象ではなかったことをご存知でしょうか?

今回は、派遣の歴史を振り返りながら、「いつから、なぜ事務派遣がこんなに増えたのか?」という謎を解き明かします。


1. 1986年:派遣法の誕生ときは「超・専門職」限定だった

労働者派遣法が施行されたのは1986年(昭和61年)。 当時は、「ポジティブリスト方式」といって、決められた特定の業務(13業務)でしか派遣が認められていませんでした。

その中身は以下の通りです。

  • ソフトウェア開発
  • 機械設計
  • 通訳・翻訳
  • 秘書 など

つまり、当初の派遣社員は「高い専門スキルを持ったプロフェッショナル」のための働き方であり、いわゆる「一般事務」や「データ入力」といった業務は対象外だったのです。

2. 1996年~1999年:ここが転換点!「事務派遣」の爆発的普及

では、いつから事務職が増えたのでしょうか? 大きな転換点は1990年代後半に訪れます。

① 1996年の改正(対象業務の拡大)

対象業務が13から26に拡大されました。ここで重要だったのが、「OA機器操作」が含まれていたことです。 Windows 95が発売され、オフィスにパソコンが普及し始めた時期。「パソコンを使える人」が、専門職として派遣される土壌が整いました。

② 1999年の大改正(自由化)

ここが決定的瞬間です。原則禁止だった派遣が、一部の禁止業務(港湾運送、建設、警備、医療など)を除いて原則自由化(ネガティブリスト化)されました。

これにより、専門的なスキル定義が曖昧な「一般事務」「ファイリング」「営業事務」などの領域でも、派遣社員の受け入れが可能になったのです。


3. なぜ「事務派遣」は一気に増えたのか?

法律の改正だけでなく、当時の時代背景が「事務派遣」の需要を後押ししました。

理由1:バブル崩壊と就職氷河期

バブル崩壊後、企業は固定費(正社員の人件費)を抱えることを恐れました。「正社員の採用を絞り、景気に合わせて調整しやすい派遣社員でまかなう」という経営判断が主流となり、新卒採用(就職氷河期)の代わりに派遣のニーズが高まりました。

理由2:IT革命とスキルの標準化

昔の事務(手書きやそろばん)とは異なり、PCスキル(Word、Excel)が必須になりました。「Excelが使える」というスキルが標準化されたことで、「即戦力として外部から人を入れやすい」環境になったのも大きな要因です。


4. そして現在:2015年改正と「同一労働同一賃金」

2000年代以降も製造業への解禁(2004年)などを経て派遣市場は拡大しましたが、リーマンショック後の「派遣切り」などが社会問題化しました。

現在は、2015年の改正(基本的に同じ組織で働けるのは3年まで)や、近年の「同一労働同一賃金」の導入により、派遣社員の待遇改善が進められています。かつての「調整弁」という扱いから、「キャリア形成の一つの形」へと、派遣のあり方も少しずつ変化しています。


まとめ

「事務派遣」が増えたのは、1990年代後半の規制緩和(自由化)と、バブル崩壊後のコスト削減ニーズが合致した結果でした。

  • 昔: 特定のスペシャリストだけの働き方
  • 今: 事務職を中心とした、柔軟な働き方のインフラ

歴史を知ると、現在の求人市場がなぜこうなっているのか、その理由がよく分かりますね。

著者:ハンケ(@hanke_sales) 現役の派遣営業マン。 X(Twitter)では、ブログには書けない派遣業界の裏話や、派遣社員が損をしないためのマネーハックを発信しています。 👉 X(Twitter)をフォローする

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