お疲れ様です、派遣営業のハンケです。
「私が汗水たらして働いているのに、派遣会社は何もせずに右から左へマージンを取っていく」 「時給1500円だけど、会社は3000円くらい貰ってるんじゃないの?」
面談をしていても、飲み会で友人に仕事の話をしても、必ずと言っていいほどこの話題になります。 いわゆる**「中抜き(ピンハネ)」**の話です。
給与明細を見るたびに、「もっと貰えるはずなのに」とモヤモヤした気持ちになること、ありますよね。その気持ち、痛いほどわかります。
でも、実際のところ派遣会社が「いくら」企業から貰って、そこから「いくら」利益を出しているのか。その正確な数字を知っている人は意外と少ないものです。
今日は現役の営業担当として、業界のタブーとも言える**「お金の裏側」**をすべて公開しようと思います。 これを読めば、あなたの時給が適正なのか、それとも搾取されているのか、自分で計算できるようになるはずです。
そもそも「中抜き」の相場は何%なのか?
まず、計算の前提となる「マージン率(中抜き率)」についてお話しします。
ネットなどでは「50%抜かれている!」なんて噂もありますが、今の派遣業界の平均的なマージン率は、**およそ「30%~35%」**です。
もちろん、専門職(ITエンジニアや通訳など)や、超短期のスポット派遣であれば40%を超えることもありますが、一般的なオフィスワーク(事務、コールセンターなど)であれば、30%前後に落ち着くことがほとんどです。
今回は、業界の標準値である**「マージン率35%」**と仮定して、あなたの時給から逆算した「派遣先が支払っているリアルな金額」を算出してみました。
【一覧表】時給別・派遣先への請求額シミュレーション
あなたの時給に近いところを見てみてください。 (※マージン率35%=派遣料金の65%がスタッフの時給になる計算です。交通費をどちらが負担するか問題もあるので若干差異あります。)
① 時給1,400円の場合
- あなたの時給:1,400円
- 派遣先への請求額:約2,150円
- 派遣会社の取り分:750円 / 1時間
1日8時間働いた場合、派遣会社には毎日「6,000円」が入る計算になります。月20日稼働なら12万円です。「え、取りすぎじゃない?」と思いましたか? そう思うのが普通です。
② 時給1,500円の場合
- あなたの時給:1,500円
- 派遣先への請求額:約2,300円
- 派遣会社の取り分:800円 / 1時間
③ 時給1,600円の場合
- あなたの時給:1,600円
- 派遣先への請求額:約2,460円
- 派遣会社の取り分:860円 / 1時間
④ 時給1,700円の場合
- あなたの時給:1,700円
- 派遣先への請求額:約2,610円
- 派遣会社の取り分:910円 / 1時間
⑤ 時給1,800円の場合
- あなたの時給:1,800円
- 派遣先への請求額:約2,770円
- 派遣会社の取り分:970円 / 1時間
⑥ 時給1,900円の場合
- あなたの時給:1,900円
- 派遣先への請求額:約2,920円
- 派遣会社の取り分:1,020円 / 1時間
いかがでしょうか。 時給が上がるにつれて、派遣会社の取り分もチャリンチャリンと増えていきます。 時給1900円クラスになると、会社はあなた1人で1時間あたり1000円以上を売り上げていることになります。
「やっぱり派遣会社はボロ儲けじゃないか!」 「私が働いている横で、何もしていない営業が私の時給の半分近くを持っていっている!」
そう怒りたくなる気持ち、本当によくわかります。 しかし、ここからが今日一番話したい**「消えたマージンの行方」**の話です。
マージン=会社の利益、ではない
実は、私たちが頂いているこの「35%」のマージン。これがそのまま会社の金庫に入っているわけではありません。ここから驚くほど多くの経費が引かれていきます。
内訳をざっくり解説します。
1. 社会保険料(約15%)
これが最も大きいです。 あなたが加入している健康保険や厚生年金。給与明細を見ると引かれていますよね? 実はあれ、**「同額を会社も負担している」**のです(労使折半といいます)。 さらに労災保険や雇用保険も会社が負担しています。 マージン35%のうち、半分近い約15%~17%は、国に納める保険料として右から左へ消えていきます。
2. 有給休暇の費用(約1%~2%)
派遣社員の皆さんも半年働けば有給休暇が付与されます。 有給を使う日は「働いていないのにお金を払う」状態になりますが、派遣先企業は「働いていない時間」のお金は払ってくれません。 つまり、有給を使った日のお給料は、過去のマージンの中から貯めておいた分で支払っているのです。
3. 募集広告費・採用コスト(約5%~10%)
「indeed」や「バイトル」、「リクナビ派遣」などの求人サイト。 あれに掲載するのにいくらかかるかご存知でしょうか? 1案件掲載するだけで数万円~数十万円が飛びます。 さらに、登録センターの場所代、面談担当者の人件費。 あなたがその仕事に就くまでに、会社は先に数十万円単位の投資をしています。これをマージンから回収しなければなりません。
4. 営業担当の人件費・オフィス代(約5%)
私の給料や、オフィスの家賃、パソコン代などです。 正直、ここは微々たるものです。
最終的に残る「本当の利益」はいくらか?
これらを全部引いて、最終的に派遣会社の手元に残る「営業利益」。 一般社団法人日本人材派遣協会の調査によると、平均して**「1.2%」**程度だと言われています。
もし派遣先からの請求額が2,300円(時給1,500円)だとしたら、会社の純粋な利益は**「1時間あたり27円」**くらいしか残らない計算です。
驚きましたか? 「ボロ儲け」どころか、実は「薄利多売」のギリギリのビジネスモデル。それが派遣業界の正体なのです。 だからこそ、私たちは必死で「長く働いてほしい」と願います。すぐに辞められてしまうと、最初にかけた広告費すら回収できず、赤字になってしまうからです。
この知識をどう使う?「賢い交渉術」
さて、会社の裏事情をお話ししましたが、だからといって「会社も大変なんだ、我慢しよう」と言いたいわけではありません。 むしろ、この構造を知った上で、賢く立ち回ってほしいのです。
① 時給交渉のタイミングを見極める
あなたの時給を上げるためには、原資(派遣先からの請求額)が必要です。 もしあなたが「今の仕事、私にしかできない業務が増えているな」と感じたら、それはチャンスです。 営業担当にこう伝えてください。 「業務量が増えたので、派遣先への請求単価を上げる交渉をしてくれませんか? それに合わせて私の時給も上げてほしいです」
単に「時給上げて」と言うよりも、「単価交渉して」と言う方が、営業担当は動きやすいです。「あ、このスタッフさんはビジネスの構造をわかっているな」と一目置かれること間違いなしです。
② 「マージン率」を確認する
実は、派遣会社には**「マージン率の公開義務」**があります。 会社のホームページなどを探せば、必ず「全社平均のマージン率」が載っています。 もしあなたが所属している会社のマージン率が40%や50%を超えているなら、それはちょっと「抜きすぎ」な会社かもしれません。 逆に25%~28%くらいの会社なら、かなりスタッフに還元している優良企業と言えます。
まとめ:数字を知れば、怖くない
「中抜き」という言葉には悪いイメージがありますが、実際には「保険料」や「有給費用」といった、皆さんを守るためのコストが大半を占めています。
とはいえ、適正範囲を超えて搾取してくるブラックな派遣会社が存在するのも事実。 だからこそ、今日お伝えした: 「請求額 ≒ 時給 ÷ 0.65」 この計算式を頭の片隅に置いておいてください。
もし、派遣先の担当者と仲良くなって、ポロッと「うちは君に時間3000円払ってるんだから頼むよ~」なんて言われた時。 もし自分の時給が1400円だったら…。 (3000円 × 0.65 =本来なら1950円くらい貰えるはず!)
その時は、すぐに私(のような営業担当)に連絡してください。 全力で交渉するか、もっと条件の良い会社へ移るべきタイミングです。
数字は嘘をつきません。 感情ではなく「計算」で、自分の働き方を守っていきましょう。
それでは、また。
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