「気になるお仕事にエントリーしたのに、『今回は他の方で話が進んでおりまして…』とお断りの連絡が来た」 「募集が出た瞬間に応募したのに、なぜか紹介してもらえない」
派遣でお仕事探しをしていると、一度はこんな経験があるのではないでしょうか。「私の何がいけなかったの?」「年齢?スキル?」と不安になってしまいますよね。
実は、この「紹介されない理由」の9割は、皆さんが思っているような「能力不足」ではありません。 今回は、私たち派遣営業やコーディネーターが、応募者のリストを見ながら裏でどのような会話をし、どうやって「たった1人の候補者」を決めているのか、そのブラックボックスを開けます。
この「社内選考」の仕組みを知れば、無駄に落ち込むことがなくなるだけでなく、「選ばれるための戦略」が見えてくるはずです。
法律の壁が生む「椅子取りゲーム」
まず大前提として、派遣法には「事前面接の禁止」というルールがあります。派遣先企業は、事前に履歴書を見たり面接をして選考することができません(※紹介予定派遣を除く)。
そのため、私たち派遣会社は、派遣先企業に対して**「この人なら間違いありません!」というスタッフさんを、原則『1名だけ』紹介します。** つまり、1つの案件に10名のエントリーがあった場合、派遣会社の中で**「誰をその1枠の代表選手にするか」という予選会(社内選考)**が行われているのです。
あなたが「紹介されなかった」のは、企業に落とされたのではなく、この予選会で「今回は別の人が代表に選ばれた」というだけの話なのです。
営業担当が「代表選手」を選ぶ4つの基準
では、私たち営業は何を基準にその1名を選んでいるのか。 スキル? いえ、違います。私たちがPC画面でチェックしているのは、以下の4点です。特に最後の「4つ目」が、合否のほとんどを決めていると言っても過言ではありません。
スキルと時給のバランス(コスパ)
時給1,600円の案件に、スキルが高すぎる時給2,000円レベルの人が応募してきた場合、逆に紹介を見送ることがあります。「このスキルでこの時給だと、すぐに不満を持って辞めてしまうだろう」と判断するからです。
「通勤距離」は意外と見ている
地味ですが強力な基準です。 Aさん(スキル80点・片道1時間半)とBさん(スキル60点・片道20分)なら、私は迷わずBさんを選びます。通勤時間が長いと、悪天候や体調不良での欠勤リスクが高まるからです。
過去の「電話対応」の履歴
私たちの社内システムには、過去にあなたと話したコーディネーターのメモがすべて残っています。 「言葉遣いが丁寧」「レスポンスが早い」なら加点ですが、「態度が横柄」「保留にせず独り言を言っていた」などのメモがあれば、どんなにスキルが高くても代表選手からは外します。
【最重要】過去の就業評価
これが、今回一番お伝えしたい**「合否を分ける最強の基準」**です。 もしあなたが以前、同じ派遣会社で働いたことがある場合、当時の営業担当が残した「評価コメント」が必ず存在します。 「契約満了できれいに退職したか」「勤怠は安定していたか」「派遣先からの評判はどうだったか」。
残酷ですが、ここにマイナスなことが書かれていると、どんなにスキルが高くても社内選考は通りません。逆に、ここが良いと多少スキル不足でも「人柄重視」で通します。 ※具体的にどんな内容が書かれているのか(ブラックリスト・ホワイトリストの正体)については、長くなるので**後日別の記事で詳しく暴露します。**お楽しみに。
「社内選考」を突破するための裏技
では、どうすればこの予選会を勝ち抜けるのか。 誰でもすぐにできて、かつ営業担当に「おっ、この人はしっかりしているな」と思わせるテクニックがあります。
職務経歴書の「備考欄(任意項目)」こそ全力で書く
Web登録やエントリーをする際、「必須項目」だけ入力して終わらせていませんか? それは非常にもったいないです。 私たち営業は、入力が面倒な「任意項目」や「備考欄」をあえてしっかり書いている人に対し、**「仕事に対する誠実さ・熱意がある人」**というポジティブな印象を持ちます。
書くべき内容は以下の2つです。
- 定量的な実績 ただ「事務をしていました」ではなく、「1日平均50件の伝票処理を行い、チーム内で処理件数No.1でした(派遣先へ確認している場合もあるので嘘は厳禁、虚偽はかなり逆効果)」など、数字を入れるだけで信頼度が跳ね上がります。
- 定性的なアピール 「新しい環境でも積極的にコミュニケーションを取れます」「業務フローのマニュアル化が得意です」など、数字にできない強みを備考欄に添えてください。
「面倒な入力をサボらない人」は、実際の仕事もサボらない人です。 この一手間で、あなたのエントリーデータの輝きが変わります。
まとめ:選ばれなかったのは「縁」と「タイミング」
最後に伝えたいのは、エントリー落ちしても**「あなたの人格が否定されたわけではない」**ということです。 たまたま「家が近い人がいた」とか「過去に実績がある人がいた」というだけの理由がほとんどです。
しかし、もし「いつも書類選考で落ちる」と感じているなら、一度ご自身の登録データの「備考欄」を見直してみてください。 そこに少し情報を書き足すだけで、来週からの営業担当の反応がガラッと変わるかもしれませんよ。
著者:ハンケ(@hanke_sales) 現役の派遣営業マン。次回の記事では、今回触れた「派遣会社のデータベースに残る“あなたの評価”の正体」について深掘りします。見逃したくない方はXのフォローを! 👉 https://x.com/hanke_sales

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