【時給交渉の正解】「いくら上げてください」と言う前に。事務職とIT職で異なる「勝てる値幅」のリアル

時給交渉・給料アップ

「そろそろ時給を上げてほしいけれど、いくらと言えばいいのか分からない」 「厚かましいと思われて、契約を切られたらどうしよう」

派遣社員として働いていると、更新の時期が近づくたびにこんなモヤモヤを抱えていませんか?

お金の話はデリケートです。営業担当に相談しようにも、「相場が分からないから、ふっかけすぎたら恥ずかしい」と二の足を踏んでしまう。その気持ち、痛いほどよく分かります。

でも、はっきり言わせてください。 何も言わずに時給が上がることは、今の日本では奇跡に近いです。 黙っているということは、今の時給に「大満足しています」とサインを出しているのと同じこと。

今回は、現役の業界人としての視点から、「現実的に勝ち取れる時給アップの金額」と、その「根拠の作り方」について、綺麗事抜きでお話しします。

事務職ならこのライン、IT職ならこのライン、という具体的な数字も公開しますので、次回の面談前の作戦会議として使ってください。


ステップ1:いきなり金額を言わない。「市況とのズレ」を確認するのが先

多くの人がやってしまう失敗。 それは、根拠もなく「なんとなく50円くらい上げてほしいです」と言ってしまうことです。

これを言われた営業担当は、心の中でこう思います。 (気持ちは分かるけど、派遣先に交渉する材料がないなぁ……)

時給交渉は、「おねだり」ではありません。「価格の適正化」です。 まずは、自分が今もらっている時給が、世の中の相場と比べてどうなのかを調べることから全てが始まります。

やることはシンプルです。 大手の求人サイト(リクナビ派遣、エン派遣など)を開き、以下の条件で検索してください。

  • 今の勤務地と同じエリア
  • 今の仕事と同じ職種(未経験OKか、経験者必須かまで合わせる)
  • 今の自分と同じくらいのスキル感

もし、あなたの現在の時給が1,600円で、検索して出てきた似たような求人が「1,700円スタート」だった場合。 ここに「100円のズレ」が生じています。 これが、あなたが交渉で使う最強の武器になります。

「生活が苦しいから上げてほしい」ではなく、「今の市場価値は1,700円のようなので、今の1,600円は相場より低いようです。この差を埋めていただけませんか?」

これなら、営業担当も派遣先に対して「相場より安いので、このままだとスタッフさんが他社に流れてしまうリスクがあります」と交渉しやすくなるのです。


ステップ2:【一般事務・OA事務】の交渉ラインは「25円~100円」

では、具体的な金額の話に入りましょう。 まずは、最も人口の多いオフィスワーク(一般事務、営業事務、データ入力など)の場合です。

結論から言うと、交渉の現実的な着地点は【25円~100円】の間です。

■ 25円~30円アップ(難易度:低~中) 「たったこれだけ?」と思うかもしれませんが、侮ってはいけません。 週5日フルタイムで働くと、月間で約4,000円~5,000円のアップ。年間で6万円です。 派遣会社の社内規定や、派遣先との契約単価の兼ね合いで、最もスムーズに通りやすいのがこのラインです。「長く働いてくれている感謝」として提示されやすい額でもあります。

■ 50円~60円アップ(難易度:中~高) ここに到達できれば、交渉としては「大成功」の部類に入ります。 月間で約8,000円~1万円のアップ。 これを勝ち取るには、単に長く働いているだけでなく、「業務範囲が広がった」「後輩の指導をしている」「新しいソフトを使えるようになった」といった、プラスアルファの貢献材料が必要です。

■ 100円アップ(難易度:激高・ホームラン級) 事務職で一気に100円上がるケースは稀ですが、存在します。 これは、「リーダー業務を任された」や「あなたが辞めたら業務が回らないレベルで依存している」場合、もしくは「当初の契約時より明らかに相場が高騰した(市況のズレが大きすぎる)」場合です。 100円上がれば、月収で1万6,000円変わります。ここまでくれば、生活の質が変わるレベルです。

事務職の場合、まずは「50円」を目標に交渉を持ちかけ、落とし所として「30円」で着地できれば御の字、と考えておくのがメンタル的にも健全です。


ステップ3:【IT・エンジニア・専門職】なら「200円~300円」も夢じゃない

もしあなたが、ITエンジニア、Webディレクター、翻訳、あるいは高度な経理・貿易知識を要する専門職で働いている場合。 話は全く変わってきます。

ここでは、【200円~300円】単位の交渉も十分にあり得ます。

理由は単純で、IT・専門職は「代わりの人が見つからないから」です。 一般事務であれば、残念ながらすぐに次の人が見つかることも多いですが、専門職は採用コストが桁違いにかかります。派遣先としても「今の業務を理解しているあなたに辞められて、また一から高い紹介料を払って別の人を探す」くらいなら、「時給を上げて引き留める」ほうがコスパが良いのです。

【IT職の交渉目安】

  • スキルアップした場合: 入社時より使える言語が増えた、設計までできるようになった等の場合は、強気に100円以上を提示してOKです。
  • 市場価値の高騰: IT業界は人材不足が深刻です。1年前と比べて相場が200円上がっていることもザラにあります。

私が過去に担当した事例でも、他社から引き抜きの話がきていることをチラつかせたエンジニアの方が、一回の交渉で時給300円アップ(月収約5万円アップ)を勝ち取ったことがあります。 専門職の方は、事務職の相場観に引っ張られず、強気の姿勢で「自分のスキルへの対価」を求めていくべきです。


ステップ4:交渉に失敗しないための「伝え方」テンプレート

相場も調べた、目標金額も決めた。最後は「伝え方」です。 喧嘩腰にならず、かといって弱気にもならず、ビジネスライクに伝えるのがコツです。 次回の面談で、そのまま使えるフレーズを用意しました。

【切り出し方】 「次回の更新についてですが、前向きに考えています。ただ一点、ご相談させてください。現在、私の職種・スキルの求人相場を見ると、〇〇円前後での募集が多いようです。現在の時給〇〇円とは少し開きがあるように感じておりまして、この差を埋めていただくことは可能でしょうか?」

【貢献度のアピール】 「就業当初に比べて、現在は〇〇や〇〇の業務も担当させていただいており、派遣先様のお役にも立てている自負があります。今後も長く貢献していきたいと考えておりますので、時給〇〇円への見直しをご検討いただけないでしょうか」

ポイントは、「今後も長く働きたいからこそ、納得できる条件にしたい」というポジティブな理由付けをすることです。 これなら、「お金のことばかり言う面倒な人」とは思われません。むしろ「プロとして条件交渉をしている人」として扱われます。


最後に:断られても、あなたは損をしない

最後に、一番大切なことをお伝えします。 時給交渉をして、もし「NO」と言われたらどうしよう、と怖がる必要はありません。

交渉して断られたとしても、あなたの時給が「下がる」ことはないからです。 現状維持になるだけです。つまり、あなたにはノーリスクなのです。 (まともな派遣会社なら、交渉しただけで契約を切るなんてことは絶対にしません。そんなことをしたら違法ですし、会社の評判に関わります)

言えば上がるかもしれない。 言わなければ上がらない。 だったら、言ってみる価値はあると思いませんか?

たかが時給、されど時給。 時給30円の違いは、毎日のランチのグレードを変え、年間で見れば旅行に行ける金額になります。 自分の価値を安売りせず、まずは「検索」して市場を知ることから始めてみてください。

あなたの交渉がうまくいくことを、心から応援しています!


▼ 時給交渉のタイミングや、もっと個別の悩みはこちらへ hankeの公式X (Twitter) @hanke_sales ※「こんな場合でも交渉していい?」などの質問も、リプライでお待ちしています。

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